2024.06.13
2024年6月13日に、VOCALOIDの最新バージョンとなるVOCALOID バージョン6.4(無償アップデート)をリリースいたしました。本記事では、バージョン6.4の概要を解説しています。
※重要なご注意事項
バージョン6.4は出力音に変化のあるアップデートを含んでいるため、バージョン6.4未満で楽曲を制作中の場合は、アップデート後に出力音に変化が出る場合があります。もしダウングレードが必要になった場合は、本記事末尾をご参照ください。
VOCALOID 6.4の改善点
編集後のレンダリング時間が短縮されました
トランスポート操作の高速化を実現するコマンドが追加されました
パートの編集において「形式を選択して貼り付け」が追加されました
ノートの編集において「形式を選択して貼り付け」が追加されました
制作の高速化に貢献する7つの編集コマンドが追加されました
コントロールパラメーターを初期値に戻すコマンドが追加され、数値入力も可能になりました
歌詞をコピーするための「歌詞を抽出」コマンドが追加されました
ペンツール選択時に波形が表示されるようになりました
DAW上でARA2接続時の表記が変わりました
VOCALOID 6.4の注意事項と入手方法
使用にあたっての注意事項
入手方法(VOCALOID Editorと標準付属ボイスバンク)
入手方法(VOCALOID SHOPで購入した場合)
入手方法(VOCALOID SHOP以外で購入した場合)
ダウングレードの方法
バージョン6.4は、音質やピッチの安定性改善に加えて、制作ワークフローの高速化を実現する数々の改善が含まれています。
従来は一部の変更でもパート全体をレンダリングしていましたが、バージョン6.4では、レンダリングする範囲が見直され、レンダリング待ち時間が短くなりました。
パートの最後の音だけ編集を加えた場合は、当該のノートの前後で音が切れる部分を自動的に認識し、必要な範囲だけをレンダリングします。
以下のトランスポートコマンドが新たに設定されました。これらはキーボードショートカット機能にて自由にキー操作を割り当てることが可能です。
コマンド | 挙動 |
グリッド単位で先へ進む | ソングポジションを1グリッド右へ移動 |
グリッド単位で巻き戻し | ソングポジションを1グリッド左へ移動 |
小節単位で先へ進む | ソングポジションを1小節右へ移動 |
小節単位で巻き戻し | ソングポジションを1小節左へ移動 |
小節単位で早送り | ソングポジションを4小節右へ移動 |
小節単位で早戻し | ングポジションを4小節左へ移動 |
例えば、グリッドを「1拍」にすれば、「Alt(option) + テンキーの-」「Alt(option) + テンキーの+」操作で1拍の単位で現在位置が移動します。グリッドを変更すれば、あわせて移動単位が変更されます。
割り当ては「キーボードショートカット」メニューから行います。割当を行うことで、ご自身の使いやすいトランスポートコントロールを実現することができます。
TRACK EDITORでパートをコピー・ペーストする際のメニューに、「形式を選択して貼り付け」が追加されました。貼り付け時に、以下の画像のように必要な内容だけを選択して貼り付けることができます。
例えば、「オーディオエフェクト」だけを選択した場合は、コピー元パートのオーディオエフェクト設定だけを貼り付けることができます。作り上げたエフェクト設定を他のパートに簡単に適応していくことができます。
選択可能な項目
ノート
ボイス
スタイル
スタイルプリセット
ロボットボイス
ブレス
テイク
シンギングスキル
ボイスカラー
オーディオエフェクト
ボカロチェンジャー
チェンジピッチ
リバース
MUSICAL EDITORにおいて、ノートをコピー・ペーストする際に、「形式を選択して貼り付け」が可能になりました。貼り付け時に、以下の画像のように必要な内容だけを選択して貼り付けることができます。
例えば、「ビブラート」だけを選択した場合は、コピー元ノートのビブラート設定だけを任意のノートに貼り付けることができます。設定値のみをコピー・ペーストできるので便利です。
また、従来のボイスバンクにも対応しており、「アタック」「リリース」はそれぞれ「アタックエフェクト」「リリースエフェクト」を選択し、貼り付けることができます。
選択可能な項目
歌詞と発音記号
AIパラメータ
ピッチ
ビブラート
エクスプレッション
パラメータ
アタック
リリース
MUSICAL EDITORでノート選択時に表示される右クリックメニューに「ジョブ」が追加されました。「ジョブ」内には以下の7つの編集機能があります。
実行するとスタッカートのように音が短くなり、エクスプレッションも変更されます。「強い」「普通」「弱い」の3種類から選択できます。
実行すると選択したノートを指定した数に均等分割します。手動で幅の広いビブラートなどを表現する場合に便利です。
指定した位置でノートを2つに分割します。同時に、分割後のノートをトランスポーズすることができます。
例えば音の始端を分割しピッチを下げれば、しゃくりの表現ができます。終端を分割してピッチを上げればヒーカップ唱法のような表現ができます。
選択した2つ以上のノートを1つのノートに結合します。ピッチや歌詞は、最初のノートの情報が採用されます。
2つ以上のノートにおいて、重複している部分を自動的に切り詰めます。複数のノートに対して一括で実行することができます。まとめてオーバーラップを解消したい場合に便利です。
ソングポジションの位置に指定した長さの休符を挿入します。挿入された休符より後ろのノートは移動されます。カーソルがノートとノートの間に位置している場合に使用できます。
指定したノートのピッチを変更します。複数のノートに対して一括で実行することができます。
MUSICAL EDITORのコントロールパラメーターエリアにおいて、右クリックメニューに「コントロールパラメーターを初期値に戻す」が追加されました。
例えばピッチベンドにおいては、編集点を選択後に「コントロールパラメーターを初期値に戻す」を選択することで、「0」に戻すことができます。
さらに数値の直接入力にも対応しました。ダブルクリックでウインドウが表示されますので、任意の値を直接入力できます。
MUSICAL EDITORにおいて、ノート選択時の右クリックメニューに「歌詞を抽出」が追加されました。ノートに含まれる歌詞情報を簡単に抽出することができ、他アプリケーションで歌詞編集をする場合などに便利です。
ペンツール選択時、従来はノート表示のみでしたが、波形が表示されるようになりました。波形を見ながら編集できるため、スムーズに制作を行うことができます。
DAW上でARA2接続した場合の表記が以下のように変更になりました。
インストールしているボイスバンクのバージョンは、「メニュー>ヘルプ>ボイスバンクのバージョン」からご確認いただけます。
VOCALOID Editorのバージョンは、起動後に上部「ヘルプ」メニューから「VOCALOID Editorについて...」を選択して表示されるポップアップウインドウで確認できます。
VOCALOID 6.4は無償アップデートです。
以下のリンクよりダウンロードページに移動し、MacまたはWindowsの「ダウンロード」を選択して下さい。
ダウンロードされるファイルはZip形式で圧縮されており、VOCALOID Editorとボイスバンク双方のソフトウェア(フルインストーラー)が含まれています。
Zip圧縮形式のファイルを解凍し、指示に従ってVOCALOID Editorをインストールしてください。ボイスバンクのバージョンが6.3未満の場合は、ボイスバンクもインストールしてください。インストール方法は以下の記事を参考にしてください。
ボイスバンクの認証が必要になる場合は、VOCALOID6購入時に発行されたボイスバンク用のシリアルコードを使用します。Webページの「購入履歴」から、ボイスバンクの項目にて「シリアルコード表示」を選択し、シリアルコードを確認してください。
符色、Po-uta、ZOLA Project等の別売りボイスバンクについては、Webページの「購入履歴」から、当該のボイスバンクの項目にてダウンロードを行ってください。
ボイスバンクを販売している各社のWebサイト等よりダウンロードを行ってください。
もしダウングレードが必要になった場合は、以下のリンク先をご参照ください。